FMEAの手順
FMEAは解析の手法です。ですから、解析の手順があります。この投稿では、FMEAの解析の手順を2通り紹介します。
目次
故障モードから解析する
JIS C5750:2011にFMEAが規格として定義されています。
その中に書かれている手順は、概ねこのようになっています。
どのアイテムを解析するか、選ぶ。
選択したアイテムの、故障モードを列挙する。
各故障モードの、即時的な影響と最終的な影響を予測する。
各故障モードの、原因を推定する。
影響の厳しさや故障モードの発生確率が許容できない場合は、軽減方法や是正処置を行う。
全てのアイテムに対して、1から5を繰り返す。
少し端折っていますので、正確な手順を確認したい方はJISを参照してください。
この手順では、最初に故障モードを見つけて、そこから影響や原因へ解析を進めていきます。いかにも故障モード解析ですね。
機能から解析する
上記とは別に、機能から解析する手順もあります。
Carl CarlsonのEFFECTIVE FMEASという書籍で示されている手順です。
アイテムの主機能を列挙する。
各機能に対して、全ての故障モードとその影響を列挙する。
各故障モードの、原因を推定する。
原因に対して、予防管理と検出管理を決める。
全てのアイテムに対して、1から4を繰り返す。
すこし端折っていますので、正確には原本を参照してください。
この手順では、機能から故障モードを導出して、解析を進めます。
どっちが良いの?
故障モードから始める手法と機能から始める手法では、どちらが良いのでしょうか。
「FMEAはボトムアップ的な手法である」という前提ならば、故障モードから解析を開始するのがFMEA的であると思います。
故障モードから解析を始めると、影響への展開が漏れて深刻さの判定が正確にできないかもしれません。(餃子の皮に開口ができたら(故障モード)、餡が漏れ出たり(影響1)、蒸すための水が中に入ってきたり(影響2)しますよね。)
機能から解析を始めると、言語化されていない機能(暗黙の了解とか)の解析が漏れる可能性があります。
現実的には、FMEAのルールが指定される場合が多いのではないかと思います。例えば自動車業界ならAIAG FMEA-4やVDA4です。所属する組織や顧客がルールを定めているかもしれません。ルールがあれば、それに従って実行しなければなりません。
大切なのはリスクを見逃さないことです。
故障モードから始める場合は、一通り解析が終わった後に、全ての機能が導出できているかどうか確認する。機能から始める場合は、一通り解析が終わった後に、全ての故障モードが導出できているかどうか確認する。こういう確認をしましょう。
公開日
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