GSNの描き方

GSN(Goal Structuring Notation)というのはどういうものか、自分なりにまとめてみました。

目次

  1. GSNとは
  2. 前提
  3. GSNの要素
  4. 書き方の例

GSNとは

GSNというのは、フローチャートのように図で意味を表す方法の一つです。 議論を関係者が理解できるように構造化して可視化します。

前提

GSNで扱う議論の前提として、主張は階層的なものだと考えます。つまり、上位の主張があって、それをサポートする下位の主張があります。下位の主張がすべて正しいのであれば、上位の主張も正しいと考えます。

主張の階層を表す図

イメージ的に矢印が逆向きの感じもしますが、上位の主張を分解すると下位の主張になると考えてください。

ただし、GSNを使ったからといって、その議論構造が正しいとは限りません。 どういう主張を元にして最上位の主張に至ったかを示すだけで、最上位の主張に至る経緯や、主張を裏付ける証跡が正しいとは限らないのです。

GSNで主張の背景や考え方をわかりやすく明らかにして、それが正しいかどうかレビューすることが大切です。

GSNの詳細については、astahのサイト が参考になります。

GSNの要素

GSNは何種類かの図要素を線でつなげることで議論の構造を表します。 フローチャートが、何種類かの図要素を線でつなげることでフローを表すようなものです。

ゴール(主張)

主張のことをゴールと呼びます。 図要素は長方形です。

ゴールの図

ゴール1つあたり、主張は1つにします。 名詞フレーズと動詞フレーズの組み合わせになります。「○○は△△である。」という形です。

ソリューション(証跡)

主張が正しいことを裏付けるエビデンスです。 図要素は円です。

ソリューションの図

ソリューションには主張を含めません。事実やエビデンスのみを書きます。 ですから、名詞フレーズになります。「試験結果####による。」という形です。

ストラテジー

主張を下位に展開する際の展開の仕方です。 図要素は平行四辺形です。

ストラテジーの図

議論のアプローチの方法のようなものです。上位の主張を証明する際の証明「方法」といえばよいでしょうか。

コンテキスト

ゴールやストラテジーの背景や前提条件です。 図要素は側面が円弧の四角です。(この形って、名前があるのでしょうか。)

コンテキストの図

アサンプション

ゴールやストラテジーの前提となる仮定です。 この仮定の下でゴールやストラテジーを主張します。仮定自体は正しいかどうかわかりません。 図要素は楕円で、右下にAと書きます。

アサンプションの図

ジャスティフィケーション

ゴールやストラテジーの正当性を示す理由です。 ゴールやストラテジーに書かれているフレーズの根拠を示すものです。 図要素は楕円で、右下にJと書きます。

ジャスティフィケーションの図

アサンプションは「これは正しいかどうかわからないけど、こういう仮定で議論を進めるよ。」というのに対して、ジャスティフィケーションは「こういう理由なので、正しい前提で議論を進めるよ。」という感じでしょうか。

未展開記号

ゴールやストラテジーの展開が残されていることを表します。 図要素は菱形で、ゴールやストラテジーの直下に付加します。

未展開ゴールの図

接続記号

接続記号は2種類で、いずれも矢印です。

矢が黒塗りのものは、Supported byといって、推論または証跡の関係を表します。具体的には、ゴール、ストラテジー、ソリューションを結びます。

Supported Byの図

矢が白塗りのものは、In Cotext Ofといって、背景や前提関係を表します。具体的には、コンテキスト、アサンプション、ジャスティフィケーションを結びます。

In Context Ofの図

書き方の例

G2とG3が正しいならば、G1も正しい。

ゴールを接続する図

S1とS2の両方の筋道が必要。

複数の筋道がある図

ソリューションSn1とSn2の両方のエビデンスをもって、G1が正だと断言する。

ソリューションが複数ある図

C1はG1の範囲や制約を示す。 下位の構造のコンテキストと矛盾しないこと。

コンテキストの図

A1は正しいという仮定の下でG1を主張する。 A1は正しいかどうかわからない。 下位構造の要素にもアサンプションが適用される。

アサンプションの図

J1はG1の内容やフレーズに根拠を与えるもの。

ジャスティフィケーションの図

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