GSNで注意すべきこと

GSN(Goal Structuring Notation)のような構造化されたドキュメントというのはとても便利なものですが、危険なものでもあります。自分なりに危ないなと思ったところを記録しておきます。

GSNを作ると、最上位の主張が成立したかのような勘違いをしてしまいがちです。 ドキュメントがあることに満足して中身を見ない人っていますよね。

目次

  1. GSNはただ可視化をするものである
  2. GSNは上下の関係しか考えない
  3. GSNの危ないところを知った上で活用しよう

GSNはただ可視化をするものである

GSNは下位のゴールが全て成立すると上位のゴールも成立するという考え方で成り立っています。 これはつまり、上位のゴールが成立するために必要な下位のゴールがもれなく展開されているという前提で成り立つものです。

例えば、こんな例を考えてみます。

割り箸が均等に割れるようにするには、どうすれば良いでしょうか。 例えばこんなGSNを描いたとします。

割り箸のGSN

ぱっと見た感じ、これで成立したような感じがします。 しかし、実際には木の繊維の方向に注意を払わないと、意図したように割れないかもしれません。 これに気づかないGSNに基いて図面を描いて発注すると、割れ目から横方向に裂けてしまう割り箸が出来上がってしまうかもしれません。

割り箸のGSNの改善版

だとすると、基本的に「展開漏れが無い」という仮定(アサンプション)が必要なのかもしれません。

基本的に仮定が必要の図

GSNをレビューする場合は、上位から下位への展開漏れがないかという視点で確認することが大切です。

GSNは上下の関係しか考えない

もう一つ気をつけなければならないことがあります。

GSNの最も下位の層はゴールとソリューションの組み合わせになります。 この組み合わせは、並立するゴールとソリューションとは独立しています。 つまり、あるソリューションと別のソリューションが排他的に有効な場合は、GSN全体の議論が成立しているとは言えない場合があります。

並列なソリューションの図

ちょっとうまい例えが思いつかないのですが、2つのソリューションがどちらも有効であることがゴールの成立の条件の場合に、片方のソリューションが有効になる条件を満たそうとするともう片方のソリューションが有効にできない場合です。

GSNをレビューする場合には、各ソリューションが有効であるための仮定や条件がないかを確認しなければなりません。

GSNの危ないところを知った上で活用しよう

GSNには、何を見落としているかを見つけやすいという大きなメリットがあります。 ということで、注意を払いながら使いましょう。

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