TiddlyWiki5の紹介

ローカルウィキソフトウェアTiddlyWiki5の紹介をします。TiddlyWiki5でどういうことが出来るのか、イメージを掴んでいただければ幸いです。

TiddlyWiki5で何ができる?

動画で見るTiddlyWiki5

YouTubeに紹介動画が公開されています。英語ですが、雰囲気がわかると思いますのでご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=KtCUr83XgyE

自分でウィキを作れる

ウィキペディアって便利ですよね。ウィキペディアの文章にはところどころキーになる単語にリンクが張ってあって、その単語のページへ簡単に移動できますから。

こういう種類のサイトをウィキと言いますが、こういうメモを自分で作れたら便利だと思いませんか。

TiddlyWiki5は、自分用のウィキを作るためのソフトウェアです。しかも、サーバーは必要ありません。自分のPCやスマホに保存したHTMLファイル1つとウェブブラウザ(対応しているもの)があれば自分用のウィキが作れます。

リンクや表や数式を使ったメモが作れる

メモが増えてくると、「このメモの○○について別のメモに書いたような気がするけど、どこ行ったっけ?」といって探すことありませんか。TiddlyWiki5では、メモの中の単語を他のメモに簡単にリンクできます。

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数式をメモるとき、Word文書を作って数式エディタを呼び出すのはちょっとした手間ですよね。だからといって、テキストファイルに数式を書くと表現が難しいです。TiddlyWiki5に数式プラグインを入れると、簡単に数式をメモれます。

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表をテキストファイルで表現すると、フォントによって文字がずれたりしますよね。TiddlyWiki5では、簡単な入力で見た目きれいな表を表現できます。

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その他、文字の強調や、リストや、引用や、外部リンクや、図の埋め込みなど、表現豊かなメモが作れます。

マニュアルや用語集に

TiddlyWiki5では、メモの一覧を自動的に表示するマクロが簡単に使えます。

メモにタグをつけておけば、目次を表示するメモに何文字かの入力(マクロの指定)をするだけで目次が出来上がります。もちろん目次をクリックすると、そのメモが開きます。

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図の埋め込みも簡単にできます。

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例えば、アプリの使い方の説明書やローカル用語集などに使ってみてはいかがでしょうか。

Tiddlerって何?

TiddlyWiki5を使うにあたってTiddlerという単語が出てきます。Tiddlerって何でしょうか。

情報カードを使ったことありますか?

一つのカードに一つの情報を書く

情報カードってご存知ですか。ルーズリーフを横半分に切ったようなアレです。文房具屋に行くと売ってたりします。定型のカードに一件ずつ情報を書いて、バインダーやリングファイルやインデックス付きの箱に入れたりして、情報を整理するものですね。

昔は、図書館に行くと図書目録という情報カードがありました。名刺なども情報カードの一種と言えます。

カードにインデックスを付けて保管する

カードにはタイトルを付けます。タイトルをインデックスにして検索できるようにするわけです。例えば、名刺だと社名や氏名がタイトルになります。○○社の○○さんは・・・という感じで検索しますから。そして、その情報カードをバインダーやリングファイルや箱に集めて保管します。取り出しやすいように、タイトル順に並べたり、分類したりしますね。名刺だと、何枚も名刺を入れておけるような名刺ホルダーが偉い人の机には置いてあったりします。単純に人名で並べるか社名で分類するかは、その人の主義に依ったりします。

Tiddlerは情報カード

Tiddlerは、1枚の情報カードです。本文の他に、タイトルやタグを付けられます。本文には、他のTiddlerへのリンクや図や表や数式を書くことができます。

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TiddlyWiki5はTiddlerの保管庫

TiddlyWiki5は、Tiddlerを表示したり書き込んだりするインタフェースを提供し、Tiddlerを保管する機能を持つファイルです。情報カードでいうとリングファイルのようなものです。

公式サイトからダウンロードしたempty.htmlというファイルに、TiddlyWiki5が動作するためのプログラムが書き込まれています。.html(または.htm)ファイルですから、このファイルを開くとウェブブラウザが起動します。そうするとウェブブラウザがTiddlyWiki5のファイルに書かれているプログラムを解釈して、実行します。そしてあなたが入力したTiddlerは、ウェブブラウザがこのファイル自身に記録します。つまり、あなたがTiddlyWiki5でTiddlerを作って保存すると、TiddlyWiki5はウェブブラウザによって自身を上書きしてあなたが入力したデータを保存します。こうやって、プログラム自身とデータが1つのファイルに記録されるのです。

対応するウェブブラウザがインストールされているPCやスマホであれば、TiddlyWiki5のファイル1つを移動するだけで、移動先でTiddlerの入力や閲覧ができます。情報カードを束ねたリングファイルを持って歩くようなものです。

例えば、DropBoxにファイルを置いておけば、PCでもAndroidスマホでも同じファイルが開けます。

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タグやタイトルで分類する

Tiddlerを探すために全文検索もできますが、Tiddlerにタイトルやタグを付けて分類できます。

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メモの本文内の単語から他のTiddlerへのリンクも簡単です。

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特徴

TiddlyWiki5にはいくつか特徴があります。

リストや表の入力が簡単

リストや表の入力が簡単です。テキストにマークを付けて書式を表現するのですが、特にリストや表については直感的に記述できます。

例えばリストは

* アイテム1
* アイテム2

とすれば、リストとして表示されます。

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例えば表は

|! |!A|!B|!C|
|!1|A1|B1|C1|
|!2|A2|<|C2|

とすれば表として表示されます。

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数式がきれい

数式をPCでメモるときどうしてますか。テキストで数式を表現すると、数式が複雑になるほど分りにくくなりますよね。

TiddlyWiki5は数式をきれいに表示してくれます。入力の仕方はLaTeXの数式の書式ですので、TeXを使ったことがある人なら特に簡単に使えます。

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画像を簡単に埋め込める

メモに画像を添付したいことありますよね。画像の埋め込みは簡単です。

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Tiddler間のリンクが簡単

ウィキソフトウェアですから、リンクを張るのが簡単です。

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目次を自動的に作ってくれる

各Tiddlerにタグを付けておくと、簡単に目次を作れます。上位のTiddlerのタイトルを下位のTiddlerのタグに付けておくと、目次を作るマクロが階層構造として目次を表現してくれます。もちろん、目次の各項目からTiddlerにリンクが張られます。

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ファイルが一つなので管理しやすい

TiddlyWikiのファイルは、それ自身にプログラムとデータの両方が記録されています。ですから、1つだけのファイルで成り立っています。つまり、関連するファイルが少ないので、ファイルの管理がとても楽なのです。

サーバーが無くても良い

ウィキペディアはMediaWikiというソフトウェアで動いています。これはデータベースを使用したソフトウェアで、HTTPサーバーとデータベースサーバーが必要になります。 TiddlyWili5は、TiddlyWiki5のファイルとウェブブラウザがあれば動きます。

サーバーが不要で、プログラムの実行は各PCにインストールされているブラウザで行うので、イントラネットでサーバーが立てられない環境でもウィキを構築できます。(複数PCから同時書き込みするとファイルが壊れるかもしれませんが、閲覧だけなら大丈夫。)

アプリのインストールがいらない

TiddlyWiki5はJavaScriptで書かれたプログラムです。ですから、プログラムの実行をするのはウェブブラウザです。ウェブブラウザのインストールされていないPCはほとんど無いですよね。

WindowsでもAndroidでも使える

JavaScriptとHTML5で作られているので、ウェブブラウザがあれば動きます。WindowsでもAndroidでも同じファイルを開けます。開発者はOSXを使っているようなので、OSXでも動くと思います。iOSはダメだったと思います。

不向きなこと

もちろん得手不得手があります。

独特な記述方法を覚える必要がある

書式を文字で表しますので、独特なマーク付け方法を覚える必要があります。最初は戸惑うのですが、プレビューしながら入力する機能がありますので、心配不要です。

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こういう風に文書にマークを付けて書式を表す書き方は他にもある(MarkdownとかreStructuredTextとか)のですが、Wordのように平文を入力して選択してメニューから書式を選んで・・・という方法よりもだんだんと楽に感じてきます。

レイアウトを変えるのは難しい

複雑な表現はできません。

例えば、Wordのようにフォントや文字サイズや文字色を自在に変更したり、2段組にしたり、Tiddlerの大きさを固定したりするということは難しいです。ですから、印刷物やPDFで配布するような文書の作成には向きません。そういうレイアウトや表現が重要なものについては、WordのようなワードプロセッサやInDesignのようなDTPアプリを使う方が良いです。

ファイルが大きい

公式サイトから空のTiddlyWiki5のファイルをダウンロードすると、約1.3MB(TiddlyWiki5.1.9の場合)のファイルになっていると思います。プログラム一式がこのファイルの中に含まれているので、これほどの大きさのファイルになっています。今時のローカルストレージではこの程度の大きさのファイルは余り影響無いと思いますが、Tiddlerを編集して保存すると毎回この大きさのファイルが上書きされることになりますので、DropBoxなどのクラウドにファイルを置く場合はデータ通信量に注意が必要です。

ブラウザを選ぶ

TiddlyWiki5はウェブブラウザで動くプログラムなのですが、ブラウザによって使えない場合があります。

JavaScriptを有効にしなければならない

JavaScriptのプログラムですから、JavaScriptを有効にする必要があります。セキュリティポリシーでJavaScriptの実行を止めてたりすると使えません。

プラグインが必要な場合がある

JavaScriptはセキュリティの観点からローカルのファイルにはアクセスしないのが本来の作法らしくて、そうするとTiddlerの保存ができないので、プラグインをブラウザにインストールすることで回避していたりします。

例えば、FireFoxではプラグインが必要になります。ただし、書き込みができないだけで閲覧はできます。

Windowsの場合はHTMLアプリケーションという機能がWindowsにあって、HTMLアプリケーションにするとローカルストレージへの書き込みができるようになります。TiddlyWiki5を簡単にHTMLアプリケーションにできます(拡張子をhtaに変えるだけ)ので、WindowsではHTMLアプリケーションにしてしまうというのも1つの方法です。

サンプル

TiddlyWiki5の良いサンプルがあります。TiddlyWiki5の公式サイトはTiddlyWiki5で作られています。公式サイトでできていることは頑張ればたぶん自分でもできます。公式サイトをまるごとダウンロードできますので、公式サイトのTiddlerの書き方を参考に出来ます。お時間あったら試してみてください。便利ですよ。

この投稿に使用した環境は下記です。

  • TiddlyWiki 5.1.9
  • Firefox for Windows 43
  • Windows 8.1
  • Firefox for Android 43
  • Android 4.4.4