失はれる物語

短編集です。角川スニーカー文庫で発表されたもの5作と、書き下ろしが1作で構成されています。 文庫版とは収録作が異なるようです。

  • 失はれる物語
  • 乙一
  • 角川書店
Calling you
携帯電話を持てない女子高生が憧れの携帯電話を夢想していると、知らない男の子につながってしまいます。別の番号に空想の中でかけてみると今度は女子大生につながりますが、携帯電話は空想でも通話する人物は実在するといいます。女子高生は男の子と会ってみようと思いますが、無事に会えるでしょうか。
失はれる物語
交通事故で全身麻痺になり指にしか感覚がなくなってしまった男性は、毎日見舞いに来て呼びかけてくれる妻に何を思うのでしょうか。私は愛情のように思いました。
傷を人から人へ移動させらえる能力を持った少年の話です。優しさが悲しい。
手を握る泥棒の物語
貧乏な若者が叔母の現金を狙って泥棒をしようとしますが、部屋を間違えてしまいます。結局失敗して逃げ帰るのですが、はたしてどうなるのでしょう。想像が膨らむ話です。
しあわせは小猫のかたち
事故物件に引っ越してきた大学生が、元から住み着いていた子猫と生活を始めます。ところがどうも他人の気配がして、どうやら前の住人のようなのですが。ホラーというよりは、愛情物語です。
マリアの指
憧れの女性が電車にひかれました。その女性の指を偶然入手したのですが、その指から女性の死の秘密を知ってしまいました。その秘密とは。

別の本で「しあわせは小猫のかたち」を読んで乙一さんに興味をもちまして、こちらの本を読んでみました。 悲しいような、切ないような、でも深いような、愛情というか友情のような話で、読んでいて楽しい訳ではないですが好きです。