この世界の片隅に 下

  • この世界の片隅に 下
  • こうの史代
  • 双葉社
この世界の片隅に 第29回~第40回
広の工廠が爆撃されるのですが、その描写がすごい。もう一方的であることがわかります。夫の周作さんが徴兵され、すずさんも爆撃にあって右腕を失い、姪の晴美ちゃんを亡くします。その後も空襲が続き、いよいよ広島に原爆が落とされます。そして終戦を迎えるわけですが、やりきれない印象を受けますし、戦争がどうなろうが生活は続くんだなあと思います。
この世界の片隅に 第41回 りんどうの秘密
リンさんの様子を見に行く話です。
この世界の片隅に 第42回 晴れそめの径
すずさんと義理のお姉さんが買い出しに行く話です。終戦で生活が変わった様子が描かれます。
この世界の片隅に 第43回 水鳥の青葉
相変わらず物がなくて着物を食料に替えたりしてるのですが、亡くなった人を振り返ったりします。
この世界の片隅に 第44回 人待ちの街
すずさんが広島の実家を見に行きます。妹の「すみ」さんとの再開を喜ぶのですが、これからも苦難が続くという描写がされています。
この世界の片隅に 最終回 しあはせの手紙
周作さんとすずさんが広島に仕事を探しに来たところ、ある出会いをします。

この作品はこうの史代さんのやわらかい絵で描かれるためか、戦時中のお話なのに絵柄からはシリアスな印象をあまり受けません。しかし、内容を見れば悪くなる一方の暮らしだとか、だんだんとひどくなる空襲だとか、身近な人の死だとか、とてもつらく感じます。

もちろんフィクションですから、綿密な取材をされていたとしても全てがこの物語の通りだったとは思いません。でも、この物語も戦争の一面を表現しているものだと思います。

機会があったら、上巻中巻下巻あわせて是非読んでみていただきたい本です。